ズラタン・イブラヒモビッチという夢物語

読書ログ

スウェーデン、オランダ、イタリア、スペイン、フランス、イングランド、アメリカ…

加入したチームには必ずトロフィーをもたらし、チームに多大な貢献をもたらしている「ズラタン・イブラヒモビッチ」

面白いのは、彼が去ったあと、そのチームは必ず常勝軍団になっているということ

サッカーを見ている人は彼のことを「悪童」と呼んでいるほど、フィールド上の彼は熱く、野心があり、言動が新聞の一面に載るほどの影響力

時には熱くなりすぎて、制御が効かなくなり、選手に手が出てしまう事も

そんな彼がどうやって所屬したチームを「勝者」のチームに変えているのか

本人が赤裸々に語る、「俺流を貫く大切さ」と「自分を突き動かす原動力」とは

小さい町からヨーロッパの大舞台へ

全てはここから

スウェーデン南部にあるマルメという町のローセンゴード地区

ソマリア、トルコ、ユーゴスラビア、ポーランドなど、スウェーデン人よりも移民が多い地区だった

姉が2人、弟がいるが、それぞれ父親が違う

優しい言葉なんてかけられた覚えがなく、宿題も手伝ってくれない、自分に心配ことがあるか聞いてくれることもない、家では誰も相手にはしてくれない

全て自分でやらないといけない、そんな生活を幼い頃から送ってきた

彼のメンタリティはここから作りがっていった

俺流の生き方

家庭事情、お金問題、人間関係、時には犯罪チックなことも

人が歩きづらい凸凹道をずっと歩いていたズラタンは、若くして自分なりの哲学を持っていた

でかいことも言うが、結果も出す

過去の栄光にすがり、数少ないその栄光を自慢げに語る、口だけの選手が一番嫌い

勝利のためならチームに喝をいれ、奮い立たせる。チームメイトがなんと言おうと、批判があろうとも、チームの為に声をあげる

そして自分自身もゴールという結果を出す

弱点が克服するまでとにかく反復練習。自分が目立つために、すごいパフォーマンスを披露する為に、練習に練習を重ねる

「チームの勝利より、自分のトリッキーなプレーを見せつけること」

まだスウェーデンの頃は「自分のため」というところが大きかったのかもしれない

歴史に名を刻みたい

批判に晒されたアヤックス時代

俺流を貫く。チームの勝利も大事だが、自分が輝くことも同じように、いや、それ以上に大事だったのかもしれない

スウェーデンからオランダに移籍した当初は苦しんだ

言語が違えばプレースタイルや生活様式も全く違う

結果、ゴールを奪えなくなってしまった。ゴールを奪うことが主戦場なのに、結果がついてこない

環境が変わってしまったら、自分の能力が変化するのは当然かもしれない。

僕らも同じことが言える。環境や取り巻く環境が変わってしまったら、適応するのに時間がかかてしまう。一度は経験したことがあるだろう

彼も同じ。環境に苦しみ、自分が最大限に生かせるプレーができず、結果がでない

しかしこんな状況だからこそ、ズラタンは輝いた

「何がいけなかったのだろう」「この状況を抜け出すにはどうしたらいいものか」

他人の動きを見ては「彼から何を学べるか。俺に足りないものはなんだ?」

常に課題を持ち帰り、家で考えては反省する。そして、改善を試みる

決して状況に満足してはいけない

満足しては成長が止まってしまうから

自分の価値を証明する

数十億単位で移籍金が動く昨今のサッカー界

中には100億以上で移籍が実現してしまう。ネイマール、ロナウド、ムバッペ…

ズラタンもそのなかの1人

僕の世界ではあり得ない額だから、すごいとしか言いようがない。「そのお金が最終的には自分に入ってくるから、有名選手はいいよね」こんな声も聞こえてくるのは不思議ではない

移籍金はあくまで選手に対する指標だ

若手選手なら将来に対する投資、と言う意味も込めているだろう

その額くらいに選手が結果を出して、チームに利益をもたらす

結果が出なければ、すぐにチームを追い出されたり、減給、ボーナスカットなど。自分の立ち位置も変わってくる

歴史に刻まれる事は、金額以上のプレシャーと責任が生じるのだ

サッカー選手、いや、僕たちにも共通するもの

自分の資質だけではなく、“人となり”“人間性“が問われる

プレーを見ればファンタスティク、どんなに凄いゴールを奪っても、態度に問題があれば価値は下がってしまう

サッカーに限らず、仕事でもチーム戦で戦っている。集団の中で1人でも態度や性格に問題があったらどうだろう。想像しやすいと思う

誰よりも走り、誰よりも練習を重ね、誰よりも結果を出す。

孤立している選手がいれば声をかけ、グループで固まっていたら、全員で会話ができるように1人ずつとコミュニケーションを取る

自分が居心地悪いから、やりやすいように行動したのかもしれない。

彼はこういう人間なのだ。

行動一つで価値が変化し、結果、給料にも影響するから

アドレナリンが自分を突き動かす

お金は問題ではない

ヨーロッパサッカー界では、年俸が数十億の選手がたくさんいる

最近では「オイルマネー」と言う言葉ができたくらい、中東の石油王達がオーナーになり、サッカー選手の給料は年々右肩上がり

高級車に乗り、高級時計、ブランド物に身を固める選手は少なくない

ズラタンもその1人だった

自分をカッコいいと勘違いして満足し、自分への欲求が低くなっていた

お金は人を狂わす。自分への欲求を簡単に満たしてしまうから、それ以上を求めなくなってしまう

結果を出せば自ずと後からついてくる

まず、ポルシェを売り

高級時計を外して、ナイキの安い時計をつけ

ジャージ姿に戻った。

復讐心

怒り、苦しみ、批判、罵倒…

そんな声が届いても、彼には無意味だ。逆にその声を力に変える

心臓の鼓動が早くなり、血管が開き、ドク・ドクと血液が全身に行き渡り、頭が冴え、細胞レベルで戦闘体制になる

このアドレナリンが湧き出てくる感覚。

過去の嫌なこと、苦しかった思い出、人に対する復讐心。それらおも、彼には原動力の一部なのかもしれない。

怒れ。許せないという強くて純粋な怒りは、手足を動かすための揺るぎない原動力になる

勝者のメンタル

尊敬は得るものではない。

2004年、イタリア、ユベントス。

ファビオ・カペッロ。

すれ違う時に挨拶をしても無表情、何もなかったかのように通り過ぎていく。

チームに合流すれば、選手達は凍りつき、誰もカペッロには口を出さず、冷淡に激を飛ばす

そんな鬼監督、カペッロにこう言われた

尊敬は得るものではない。掴み取るものだ

外見や持っているもので尊敬できるだろうか?どんな人が尊敬を得ているのか

言動だ。行動して、結果がついてくると、次第にリスペクトされる

人から尊敬されるのを待っていては、いつになっても尊敬されない。

自分から行動を起こし、自分から尊敬を掴みにいく

鬼監督、カペッロはこうも言った

「チャンピオン選手達にスペースを譲る必要もない。遠慮するな。あいつらがお前の邪魔になっては意味がない。」

挑戦するとともに、責任を持つ

挑戦とはズラタン・イブラヒモビッチの人生と言ってもいい

他国で戦うという挑戦、チームを引っ張るリーダー的存在になるという挑戦、高額な移籍で歴史に名を刻むと言う挑戦。

名実ともに優れてくると、同じようについてくるのが「責任」だ

周囲に流されることもなく

状況やタイミング、時には時間が迫っている時かもしれない

どんな状況でも、的確に判断することができる。これが責任だ

挑戦するとともに、責任を持つ。

彼の中のアドレナリンが湧き出てくるのだろう。プレッシャーを感じるほど、ズラタンは成長し、強くなる。

感想

スウェーデンのマルメから始まり、オランダのアヤックス、イタリアのユベントス、ミラン、インテル。スペインのバルセロナ。イングランドのマンチェスターユナイテッド。フランスのパリ。アメリカのロサンゼルス。

どのチームでも結果を出し、優勝カップを掲げてきた。優勝請負人という言葉が一番似合う男だと思います。

なぜそこまで面白いように結果がついてくるのか?どのチームにいてもなぜリーダーになれるのか?

そこには彼が悩み、苦しみ、考えに考えた哲学が根本にあるからだと感じます。

俺流を貫く

他人にいいように評価される為に、嘘をつくことは簡単です。しかし、自分を偽ることはできません。

集団行動という社会の中にいる自分たち。どうすれば自分が輝くのか。俺流という個性です。みんなと足並み揃えたところで、自分という人間は記憶に残るでしょうか?

アドレナリンが出るか、出ないか。

決断を下す材料として使うところが、彼らしいです。

言い換えれば、損得で考えていないという事です。自分が楽しい事なのか、ワクワクする事なのか、刺激がもらえる事なのか。

どのチームに行っても、ズラタン流を貫き、自分自身で尊敬を掴み取り、結果を出す。最後には勝者のメンタリティを置き土産にチームを去る。

過酷な幼少期を経験したからこそ、批判を誰よりも多く受けてきたからこそ、とてつもなく大きなプレッシャーに自分から背負に行ったからこそ。

尊敬は掴み取るもの

この一言に尽きると思います。刺激がないと言って、一歩を踏み出すことが怖くて、行動しない人が多いように思うこの社会。

人に影響を与えたのなら、まず行動しろ。とりあえずやってみろ。こういうメッセージが隠れていると思いました。

40歳を迎えたズラタン・イブラヒモビッチ。なお現役で挑戦し続けるその姿。

リーダーとして、どんな言動でチームを引っ張るのか。今後も期待しながら、彼を追っていきたいと思います!

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